24人が本棚に入れています
本棚に追加
「ナァ、腹ヘッタ、青木」
銅像を見つめる俺の耳元では、相変わらずグーグーとモドキの腹の音が聞こえてくる。
「黒いのでも食べておけよ。美味いんだろ?」
「ダカラ、アレハ苦シクナルンダッテ、言ッテンダロガ!」
最近、なんだか普通に口の悪い人間のような感じさえしてくるコイツは、創始者の銅像をジイッと見て、チッと舌打ちをした。
「強欲ソウナ顔シテヤガンナァ、コノジジイハ!」
俺はその言葉に、失笑して歩き出す。
「いいか? 仕事中は絶対話しかけてくるなよ」
「青木ガ返事ヲシナケレバイイ。ダガ、仕事中ダロウト白イノガ出タラ探シニ行くゾ。オレハ、腹ガ減ッテンダ」
また、耳元で響く腹鳴りを左手で、シッシと払うようにしてすまし顔で歩く。
俺の寿命より、コイツの浄化が先であればいいな、なんて柄にもなく願いながら。
最初のコメントを投稿しよう!