碧泉学園写真部、始動

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 夏休みに入り、部活のために学校に来る日々が始まった。  嬉しかったのは、一年生が全員、全日程を参加してくれているということ。  まだ八月中旬だけど、五回も連続で来てくれるとは思わなかった。 「田宮先輩、これどうやってピンボケ直すんすか」 「これはね」  鈴原君は田宮君がしていた編集が気になったみたいで、最初は写真の編集について質問するくらいだった。今では、川端先生から学校のパソコンを借りて写真印刷や編集技術を教わっている。もちろん、写真を撮ることもしながらだけど。  ピアスと強い目線の圧から怖いと思っていた鈴原君は、実はとても熱心な子だった。すっかり田宮君と親しくなっており、田宮君も嬉しそうに教えている。  他三名は、写真を撮る練習をひたすらしており、最近は私がお題を出してそれに合う写真を撮るということをしていた。  今日もまた、お題を出して撮影をし終えたので、選評を始める。 まぁ、選評とはいっても、私が写真を見て勝手に感想を述べるだけだけど。 「どうすか先輩。緑ってお題だったんで、黒板撮りました」 「確かに緑だ……あ、この画角いいね」 「マジすか。正面じゃつまんないから斜めからにしたんすけど、いい感じすか」 「いい感じだよ。椎名君の面白く撮りたいって言う考えは凄く良いと思う」 「ありがとうございます!」  椎名君はとにかく何でも撮ってみるというスタイルで、色んなものを撮り、色んな方法で撮影を試みていた。最初の頃と比べると、雰囲気がより明るく柔らかくなっていて、口調もどこか軽い。でも全く不快感がないのが、彼の凄いところだ。 「倉持君は何撮ったの?」 「俺は蛙にしました。ちょうど葉っぱに止まっているのを撮れたので」 「ほんとだ、凄い。ズームレンズの使い方も前より上手になってる」 「ありがとうございます」  嬉しそうに笑みを浮かべてくれる倉持君。  彼は猫を撮った時から、動物を取ることに興味を持っていたようだ。最初は動いてしまう被写体に苦戦していたが、今ではブレることなく撮れている。本人曰く、気配を殺すことが得意なのだとか。 「先輩。俺も撮りました」 「茶道部に行ってきたんだ! 凄い、めちゃくちゃ綺麗だね」  そこには、誰かが抹茶をかき混ぜる姿が映っていた。あくまでも手元に焦点が当たっており、美しい緑色の抹茶がはっきりと見える。 「友人が茶道部なんで、撮らせてもらいました」 「そうなんだ。凄く上手だと思う。あんまり言うこともないかな」 「ありがとうございます。……ちなみに先輩は何を撮ったんですか?」 「あ! それ俺も気になります」  椎名君と倉持君が集まった所で、私は自分のカメラを三人に見せた。 「私は一番王道の木を撮りました」  
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