碧泉学園写真部、始動

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 木といっても、遠くからパシャリととったのではなく、木の下に立って上を向いて撮った写真だ。なるべく日差しが見えるような、美しい瞬間を狙って撮っている。 「すげぇ……」 「さすが先輩、上手ですね」 「ありがとう、倉持君」  お礼を言ったところで、二人は椅子に戻った。一ノ瀬君だけはまだじっと見ている。 「先輩の写真はどれも綺麗ですよね。この木もそうですけど……俺も頑張ります」 「が、頑張って」  もう既に十分上手な一ノ瀬君だけど、まだまだ高みを目指そうと努力する姿は純粋に尊敬する。  鈴原君と田宮君のレッスンも終わって一区切りついたので、今日はあと文化祭の説明を再度して終わりすることにした。 「文化祭まで一か月になりました。写真部は例年写真展をするので、皆に写真を撮ってもらって、教室をお借りしてそれを掲示したいと思います。この前も言った通り、一人五枚ほど用意しておいてくださいね」 「先輩、五枚以上あってもいいんですか?」 「もちろんいいよ。だけど多くても十枚かな」 「了解っす。当日することってあるんですか?」 「準備して展示するまでがメインかな。当日は椅子に座って、来てくれた人に挨拶するくらいかな。ただ当番制なので、皆クラスのシフトがでたらグループラインに投げてください」 「「「はい」」」  文化祭の説明が終わると、私は夏の撮影会に関する詳細をまとめた紙を皆に配った。 「後でグループラインにも投げるので、万が一にでもなくしたらラインを見てください」 「言われてるぞ隆星」 「いや、響もだから!」  この二人、実は夏のスケジュール表を紛失したので新しいのをくださいと言いに来たのだ。紛失しないよう、スケジュール表はコピーを渡したのと同時にグループラインでも写真を送るという対処をした。  今回は先手を打っておいたのだ。 「集合場所は学校で、制服を着て来てください。絶対忘れちゃいけないのはカメラです。後は適時必要なものを持ってきてください。フラワーパークは昼食を食べる場所があるので、購入するかお弁当にするかは任せます」 「いや、楽しみになってきたな撮影会」 「カメラ忘れんなよ」 「いや、響もな!」  この二人には不安を覚える所もあるけど、高校生なのできっと大丈夫だろう。  朝に体調を崩したときなど、注意事項を説明し終えると、今日の部活は終わりになった。
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