夏の撮影会

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 いよいよ撮影会の日がやって来た。  不安は的中することなく、無事フラワーパークに到着することができた。  到着時刻がお昼ごろだったので、先に食事を済ませてから撮影をすることにした。 「皆さん、暑いので水分補給をしながらね。夢中になりすぎちゃだめだよ」 「「「はい」」」 「それじゃ、いってらっしゃい」  川端先生に見送られながら、フラワーパーク内にあるレストランを出た。隅っこの方で六人で集まると、どうやって行動するか説明する。 「フラワーパークは広いので、ペア行動にします」  これは倉持君から聞いた事前情報なのだが、椎名君は迷子になりやすく、鈴原君は方向音痴とのことだった。そのことを二人以外には話して相談した結果が、ペア行動だった。  黒い花を見たい田宮・鈴原ペア。椎名君の面倒を見てくれると申し出てくれたので、倉持・椎名ペア。残ったのが、私と一ノ瀬君だった。 「それじゃ、皆楽しんで」  田宮君たちは早速黒い花を撮影しに向かった。 「冬真このパンフレット見た⁉ 西エリアに珍しい花があるんだって、それ撮ろうぜ!」 「うん、わかったから落ち着いて……すみません、いってきます」 「いってらっしゃい」  倉持君が止める間もなく、椎名君は走り出してしまった。二人を送り出すと、私たちも出発することにした。 「順番に見ながら気になったものを撮っていく、で大丈夫かな」 「はい」  私達は正規ルートに沿って、一つずつ撮っていくことにした。最初に訪れたのは、薔薇のエリア。私はカメラを構えて、早速撮影を始める。 「綺麗……」  アーチ型に薔薇が植えられており、その先は色とりどり薔薇が広がっている。まるで映画に出てきそうな景色だった。 「一ノ瀬君。私適当に撮ってるから、移動したくなったら言ってね」 「……わかりました」  こくりと頷いた一ノ瀬君と、一度解散して写真を撮り始めた。  いかに映画のワンシーンのように撮れるか、画角に拘りながらシャッターを切っていく。  単純に真正面から撮ってみたり、空が映るように撮ったりと工夫をする。集中して、何枚も撮っていれば、時間が経つのを忘れてしまう。  ……しまった、集中し過ぎた。  一ノ瀬君を探せば、彼は一通り撮影し終えているようだった。 「ごめん一ノ瀬君。次の場所行こっか」 「俺ならいつでも大丈夫ですよ。納得いくまで撮っていただいて」 「ありがとう……でも薔薇はもう撮れたので」 「それなら次、行きますか」 「行きましょう」  
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