面白いことがやりたいです

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「私は発案者と案を出してくれた一年生が決めていいと思うよ」 「僕も。鈴原君は雷にする?」 「……いいんすか。一番カッコいいとこもらっちゃって」 「もちろん。やりたいならやるべきだよ」  田宮君の言葉に、私は大きく首を縦に振った。 「それならやらせていただきます!」 「後で雷を撮るコツ教えるね」 「お願いします……!」  田宮君なら、的確なアドバイスを送ってくれるだろう。そう思えたので、任せることにした。 「ということなので、一年生どうぞ」 「じゃあ俺快晴がいいっす! 雷もカッコいいけど、トップバッターもカッコいいんで」 「確かに重要だよね。じゃあ椎名君でいいかな?」  残りの二人を見れば、こくりと頷いてくれた。 「なら俺は雨がいいな。やってみたい撮り方があるんだ」 「うん、それはやってみよう。一ノ瀬君はどうする?」 「俺は……」  一瞬ためらう様子の一ノ瀬君。もしかして遠慮をしているのかと思い、一言伝えてみる。 「大丈夫、やりたいことをやってみて」 「……最後の部分をやりたいです」  ぐっと決意した一ノ瀬君は、はっきりとした声で選択した。 「うん。それじゃ、一ノ瀬君は最後の空で」  私はホワイトボードに一ノ瀬と書き込んでいく。 「いやーわかる! トリもかっこいいよな!」 「だな」  椎名君と鈴原君の価値観はさておき、自分がトリを選んでいいのかと言う戸惑いがあったようだ。 「田宮君どっちがいい? 選んでいいよ」 「それなら曇り空にしようかな」 「了解」  こうして、ホワイトボードに名前が埋まった。   晴れ空(一ノ瀬)→曇り空(田宮)→雨空(倉持)→雷(鈴原)→曇り空(田宮)→雨上がりの空(秋野)→快晴・虹の空(一ノ瀬)。 「よし、決定! 皆文化祭の写真で大変だと思うけど、頑張ってね」  こうして話がまとまると、少し文化祭の準備を進めてから活動は終わりになった。  部室の鍵を返したり、川端先生に写真リレーの報告を済ませた。  帰ろうと職員室を出れば、そこには一ノ瀬君が待っていた。目が合うと、彼はぐいっと近付いた。 「先輩、俺に時間をくれませんか?」
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