密着

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密着

その自宅も黒須君にピッタリと言うか。 弁護士と言う職業や、黒須君のご実家自体がとても裕福と言うこともあるのだろうけど。 家だと言われた場所は市内でも一等地の場所。最近立てられたタワーマンションだった。 夜に紛れない存在感ある、縦に長い建物。 むしろ暗闇を背景に夜気を纏うことでより、高級感を増すようなマンション。 そんなマンションはチラシや電車での広告でしかお目に掛かったことがない。 更にそこに実際に住んで居る人に出会うのは、なんだか不思議な気持ちだった。 立体駐車場から車を降りてから。エントランスに向かう通路を黒須君の背中とマンションを見つめて。そんなことを考えながらやや、後ろを歩いていた。 (黒須君と私とじゃ住む世界が違う。やっぱり私には無理があるんじゃ……) 今から黒須君に何を言われるのか緊張する。 そんな気持ちでマンションの内の敷地内に入るとガラリと雰囲気が変わり。 アプローチには芝や花壇が綺麗に剪定されていて。ライトアップの効果でガーデンパークみたい雰囲気だった。 整えられ花や緑を見て、少し気分が和らぐのも束の間。 エントランスホールの中に入れば、スッキリとしたホテルのカフェみたいな空間。 ホール内はホテルさながらの受付カウンターがあり、男性のコンシェルジュがニコリと優雅に挨拶を送ってくれて、また緊張してしまう。 「す、凄いところに住んでいるんですね……」 エレベーターホールと言うには洗練され過ぎた空間に辿り付き。 やっと、黒須君に声を掛ける事が出来た。 「知人に紹介して貰った。この辺りはまだ開発が進むから資産価値として、お勧めだと言われれたから」 資産価値があるからって、直ぐに購入できる経済力に恐れいるばかり。 やっぱり凄いと、しか言いようがなくて。 エレベーターに乗り込み、黒須君の長い指先が押した階は一番上。 また凄いと口に出しそうなのを、なんとか堪えたのだった。
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