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処女の私からするとどうあれ、初恋の人に抱かれるならば、抱かれたい。
向こうに気持ちが無くても最初の相手が、好きな人ならば嬉しいに決まっている。
と言う女の気持ちと。
そんなのは不純だと。身勝手だと。契約妻をちゃんと断らなければと、言う理性に頭が板挟み状態でぐちゃぐちゃになり、次の言葉が出て来なかった。
すると黒須君が立ち上がり、私の隣に座った。きしりと、微かに軋むソファの音。
びっくりして黒須君の顔を見つめる。
眼鏡の向こう側に、切なげに私を見つめる瞳と視線が合い。胸が熱くなり。
どきんと心臓が高鳴ると、膝に置いてあった私の手の上に、黒須君の優美な手が重なった。
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