執着

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そう思うと、どんな顔をして真白に会いに行けば良いか分からなかった。 だからたった一人の女を、真白を守れる力が欲しかった。 その為に弁護士になった。経済力も手に入れた。そうして、独立してから探して会いに行こうと思っていた。 今でこそ。こうして冷静に振り返る事が出来るが、それは人生での初めて挫折に違いなかった。 真白への想いはいつでも己の未熟さとセット。 それ払拭するにはあの時。出来なかった事が出来るようになるしかない。 「だから俺には真白がどうしても必要。真白の居ない人生なんて意味がない」 けれども、俺が会いに行く前に真白が現れたのだった。 ──奇跡だと思った。
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