反撃

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私も黒須君も仕事が忙しかったので、この前みたいにゆっくりと二人の時間を過ごすと言う事はなかった。 打ち合わせの主な内容は今日。 本当に私が九鬼氏に直接会うか──どうかと言うこと。 本来なら内容証明や、依頼を受けた黒須君から九鬼氏にこれからの事を伝えるのが筋だったが。 個人的に一度、母の事も含めて九鬼氏に「ふざけないで」と言いたい気持ちがあった。 「ちゃんとハッキリ断って、戦うって意思表示したいもの」 黒須君にも母にも懸念はされたが。 今回の九鬼氏の誘いは母が依頼した本件とは別件であること。 今後。九鬼氏の出方次第では私も訴えるれるようにと、を作っておいても良いとなった。 黒須君が九鬼氏の誘いに対して、私が拒絶を示したと言う『事実』を作っておくのは悪くないだろうと、私の気持ちを汲んでくれたこともある。 (って、この時の黒須君。すっごい眉間に皺を寄せていたなぁ) 黒須君の本音としては1ミリも九鬼氏には私を近づけたくないと、言っていた事を思いだし苦笑する。 他にも名刺を受け取ったから、私が九鬼氏を受け入れたなどと。 揚げ足を取られないようにと言う、対策も兼ねている。 それも踏まえて。諸々の書類はこの拒絶後、直ぐに九鬼氏に届くように手順は整っているそう。 ──更には黒須君には何やら考えがあるようで。 母とも相談して。 話し合いの結果。 直接、私がこれからの事を伝える事になったのだった。
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