友人

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松井さんはコホンと咳払いしてから。 「状況は正確に。改めて確認をさせて貰うよ。君は櫻井真白ちゃん。絢斗の妻になる人。そして現在。お母上が九鬼のバカ野郎と事故を起こしてトラブルに。その問題解決に乗り出したのが絢斗。現在、絢斗が弁護を請け負っている。今日は宣戦布告に来た。間違いない?」 初めて黒須君以外の人に『妻』と言う言葉を聞いてドキッとしながら、事情は概ね把握しているんだと思い。 契約妻と言うことは黙って、素直に返事をする。 「はい。そうです。間違いないです」 黒須君を盗み見ると壁に背を預けてじっと、扉と階段を見つめ。私達以外の他者への注意を払っているようだった。 松井さんの確認にも異を唱えることは無かったので、私から疑問に思ったことを口にして、会話を続けてみた。 「黒須さんのお友達だと言うことは分かりました。松井さんは先程仰っていましたが、黒須さんのお友達で、記者なんですよね」 「そうだよ」 「なんで、記者の方がここに? 協力関係と言うのは……教えて頂いてよろしいですか?」 すると、松井さんはパキンと指を鳴らして大きく手を開いた。それはミュージカル俳優みたいな動きだった。
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