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シングルノート
*
「私、知優香には絶対ラベンダーだと思う」
「分かる、王道だけどねっ。
すっきり爽やかな感じが知優香っぽい!」
ラベンダー……。
私・橘知優香は、友だちが多い方だ。
容姿も頭脳も人並みで、特に秀でた何かもない。陰キャ?陽キャ?と問われたならば、陰キャに分類されるだろう。そのくらい普通の高校一年生。
そんな私が、こうして友だちに囲まれているのは、持ち前の明るい性格のお陰だと思う。
「知優香〜?
ねぇ、あんたはどれがいいの?」
前の席に腰掛けて、私を見つめるのは如月莉央。私がいる一年二組でボス的存在を示す女の子だ。
「ボス」と言えば聞こえが悪いかもしれないが、彼女はまさに頼れるお姉さんタイプ。短めのスカートから伸びる脚はすらっとしなやかで、背丈も私より遥かに高い。
横に流した前髪がなんとも大人っぽく、女子からも男子からも人気のある美人さんである。
私に友だちが沢山できたのは入学後に直ぐ莉央と仲良くなったから、というのも大きいはずだ。
「う〜ん……。
私はやっぱり、莉央やふみちゃんの言う通りラベンダーかなっ」
莉央からの質問に少し考える素振りを見せて、私は慣れない単語を口に出した。
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