シングルノート

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―――――――――――――― ガラガラッ――― 暫くして、教室の後ろ側の引き戸が開く音がした。ドア付近にいた女子たちが、小さな悲鳴に近い歓声を上げる。 それを合図に、私は―――否、クラス全員がドアの方へ視線を向ける。そこには、癖のない漆黒の髪を纏った美男子が居た。 彼の名前は朝日向(あさひな)仁馨(にか)意味で、学年一モテる男だ。 「仁馨! おっは〜」 「ん、はよ」 朝日向くんは朝に弱いらしく、登校時間は遅めなことが多い。加えて、登校直後の彼は機嫌があまり宜しくない。 そんな朝日向くんへ、堂々と挨拶をするのは莉央。こういう度胸のあるところは本当に尊敬するなあ、と私は感心する。 「ていうか、今日の香水新しい!」 そのままこちらへ向かって歩いてきた朝日向くん。そのに、莉央がいち早く反応を示した。パッと目を輝かせて、興味津々といった感じだ。 彼女の大きな声に「え、マジ?!」と、人がわらわらと集ってくる。 「嗅ぐな変態」 ドサッと朝日向くんが机に鞄を置いた。そこは、私の隣の席。彼は態とらしく顔を顰めて、嫌そうな顔を作った。
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