第一章 三千万の借金

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それだけで絶対に男性にモテて、この店のナンバーワンなんだろうなと直感した。 「あー、もう終わる。 ほら、アンタには無理なんだからさ。 帰りな」 「試しにやってみないとわからないじゃないですか!」 しっしと追っ払うように手を振る店長に、さらに食い下がる。 「えー、なになに? 体験入店とかそういう話ー?」 女性が店長にしなだれかかる。 「そー。 レイカちゃんからも無理だって言ってやってよ」 店長は鼻の下を伸ばして彼女を見上げた。 「んー? やりたいならやらせてあげたらいいんじゃない? それで現実を見せてあげるのも、親切ってもんでしょ」 私へ視線を向けた彼女の目が、嫌らしくにたりと歪む。 親切どころか私を貶めて笑いたいのは理解していたが、それでも今は渡りに船だ。 「レイカちゃんがそう言うのならいっかー」 へらへらと笑いながら店長はあっさりと彼女の提案を承知した。 「ありがとうございます! よろしくお願いします!」 店長の気が変わらないうちにお礼を言い、勢いよく頭を下げた。 「じゃあ、こっちー」
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