第一章 三千万の借金

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少しのあいだ悩んだあと、私は身の安全よりもお金を取った。 「よしっ。 これからよろしく頼むよ」 バンバンと私の背中を叩いてくる店長は、あれほど私を追い返そうとしていたのを忘れているようだ。 私としては助かるけれど。 形ばかりのレクチャーを受け、フロアに出る。 「三木(みき)さん、こんばんわー」 「し、失礼します」 ガチガチでレイカさんと同じテーブルに着く。 今日は彼女のもとで学べと言われた。 「今日も来てくれたんですね、嬉しー」 「そりゃ、レイカちゃんには毎日だって会いたいよ」 「もう、口がうまいんだから」 レイカさんは三木と呼んだ男性に密着して隣に座った。 どうしていいかわからず、彼を挟んで少し離れて座る。 「この子は?」 ちらりと三木さんの視線が私へと向かった。 「今日、体験入店の子なんですー、よろしくお願いします」 「ハ、ハナです。 よろしくお願いします」 レイカさんから視線で挨拶をしろと言われ、慌てて頭を下げる。 「ふーん。 ハナちゃん、ね。 君、なかなか可愛いんじゃない?」
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