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少しのあいだ悩んだあと、私は身の安全よりもお金を取った。
「よしっ。
これからよろしく頼むよ」
バンバンと私の背中を叩いてくる店長は、あれほど私を追い返そうとしていたのを忘れているようだ。
私としては助かるけれど。
形ばかりのレクチャーを受け、フロアに出る。
「三木さん、こんばんわー」
「し、失礼します」
ガチガチでレイカさんと同じテーブルに着く。
今日は彼女のもとで学べと言われた。
「今日も来てくれたんですね、嬉しー」
「そりゃ、レイカちゃんには毎日だって会いたいよ」
「もう、口がうまいんだから」
レイカさんは三木と呼んだ男性に密着して隣に座った。
どうしていいかわからず、彼を挟んで少し離れて座る。
「この子は?」
ちらりと三木さんの視線が私へと向かった。
「今日、体験入店の子なんですー、よろしくお願いします」
「ハ、ハナです。
よろしくお願いします」
レイカさんから視線で挨拶をしろと言われ、慌てて頭を下げる。
「ふーん。
ハナちゃん、ね。
君、なかなか可愛いんじゃない?」
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