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やがて、修道院の噂を聞きつけた近隣の貴族から、「娘を預かってほしい」とか「息子を躾けてほしい」といった依頼が、次々と持ち込まれるようになった。
正直、面倒くさくて気乗りしなかったが、これも何かの縁、と軽い気持ちで受け入れたのが失敗だった。
……思い出した!
頭の中の霧が晴れていく。
上級貴族の子弟で腐り切った連中、尻軽女と輩を受け入れたのが不幸の始まり。
彼らは私の修道院を隠れ蓑に、仲間を集めてやりたい放題。毎晩のように乱交パーティなるものを開いていたらしい。
しかも、植物から薬を精製し、自ら楽しんだ後に売り捌いていたのだ。
怠け者の連中が、珍しくせっせと花の世話をしてると思ったら、案の定悪事を働いていた。しかも、それを植えたのは、私の指示によるものなどと抜かしおって!
裁判も何もなく、大司教さまと国王陛下が私たち主犯(と見られるメンバー)の処分を決めてしまい、私たちは摘発された1週間後にギロチン送りとなった。
罪人が処刑されるのは当然だし、可哀想だと憐れむ気持ちは全くない。
でも、何も悪いことはしていないのに、陥れられた挙句、冤罪で処刑される私は可哀想ではないか!
処刑の日。
私の処刑はメーンイベント扱いなのだろうか、最後である。
ゴトン、と首を落とすギロチンの音がして、断頭台に昇る階段に血が滴り落ちてくる。階段の脇で待機させられていた私は、恐怖で半ば気を失った状態。
気がついた時は、断頭台の前に引きずり出されていた。
頭を押さえつけられ、ギロチンの刃の下に倒れ込む。
「神様、お願い! もう一度やり直させて」
思わず叫んだ私の頭上に、ギラギラ光る分厚い刃が落ちてきて……。
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