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「お~い、イケメン課長、先日の企画書、仕上がったら教えてくれ」
部長に言われた。
「イケメン課長、コピー機の調子が悪いです」
部下の男子社員に言われる。
「イケメンカチョウ! オヤコドン、トドケニキタヨ」
昼飯の出前を頼んだ定食屋の、外国人のバイトに言われる。
えええいっ!
私の名前は、「一尺八寸」である。
イケメン課長と呼ぶな!
なに?!
「一尺八寸」の読み方が分からない?
「いっしゃくはっすん」じゃないぞ!
「一尺八寸」と書いて、「かまつか」というのだ。
しかし、みんなが、呼びにくいと文句を言って、いつの間にか、「イケメン課長」と呼ばれるようになってしまった……。
いや……イケメンと呼ばれて、悪い気はしないが、少々恥ずかしい……。
「……イケメン課長、書類が出来ました。見て下さいますか……」
部下の、花咲久美子くんが、控えめに言って来た。
「ああ、分かった」
私は、花咲くんには「イケメン課長」と呼ばれると、少し、いや、かなり嬉しい……。
この時だけは、難しい名前で、なおかつイケメンで良かった……と、思う私なのであった。
「イケメン課長と呼ばないで」
end
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