どうせエイプリルフール

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彩太と俺は気が合う。 今日もいつものように一緒にいる。 「卯月〜、天気もいいし出かけようか?」 俺んちのソファでくつろぐ彩太が軽く伸びをして言った。 「うん、いいよ」 その隣でくつろぐ俺はそう答えると彩太の顔を見た。 「今日、エイプリルフールだって知ってる?」 「知ってるよ」 俺の問いに少し笑った眼差しが あまりに優しくて 俺の胸はえぐられたように痛んだ。 今日なら言える。 「俺、彩太が好きだ」 イタズラっぽく笑った彩太は 「オレも卯月が好きだよ」 躊躇いもせず応える。 さすがエイプリルフールだ。 エイプリルフールに感謝と戸惑いを隠せずにいると 彩太の長い指が軽やかに俺の頬に触れた。 心の底まで覗かれているような眼差しが 更に深く俺を見つめる。 少し低い声が柔らかくささやく。 「どこまでエイプリルフールのせいにするつもり?」 息の根を止められたかのような俺は エイプリルフールが永遠に続く事を祈りながら 嘘偽りのない気持ちを分かち合いたいと願っていた・・・
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