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学校のシンニュウシャ
私立狐魂堂学園高校は、未だ設立されて間もなく、主に霊感はあるが、その実雑多なタレント達が、教員の登壇を待っていた。
その2年F組に、私と風間静也は通っていたのだが。
実際、静也は1年年下の、同学年だった。
最近、私が御所入りしてから、静也の様子がおかしかった。
こいつ、まあ私の式神なのだが、何故か、昨日は私の寝室に堂々と入り込んできた。
しかも、無言で私のベッドに転がって腹を見せていた。
いきなり何するお前は?!八瀬童子を食らええええええええええ!ってなった。
そういえば、こないだの皇居事件以来、ライル・グリフィス・コティングリーの姿もなかった。
このところ休んでいて、寮はおろか、祓魔課にも顔すら見せなかった。
ガヤガヤしていた教室が、静まり返った。
私は、カツカツという杖の音が、教壇前に達するまで、あんぐり口を開けていたのだった。
「はいおはよう。俺のラブ妻真琴が育休に入ったんでな。俺が珍しく臨時教員になることになった。勘解由小路降魔先生の登場だ」
1番、教員やっちゃ駄目な奴が現れた。
「これからは、俺に呼ばれた奴は起立して発言、しかる後にありがとうございましたと言って着席しろ。ところで風間静也、百鬼姫の奴と仲よくしてるか?デキ婚皇族もありだと思うぞ?」
「いえ、流石にそれは有り得ません」
私は即座に言った。
「馬鹿者。そういう時は、「はい先生。そうではありません」と応えろ。要するに軍隊方式だ。お前等ロクデナシを、一人前の祓魔官にしてやる。要するに泣いたり笑ったり出来なくしてやろう。ライルの奴はまだ引きこもってるのか。まあ重畳だ」
何だか、無茶苦茶な話になってきた。
見ると、教室の扉をアボリジニの精霊面とか、安摩の蔵面とかが後ろ手に組んで固めていた。何このユダヤ人学校。
「はーい、じゃあ出席取るぞ?相原」
「はい」
「はいおります。ありがとうございました。って言え。元気よくな。飯田」
「はいおります!ありがとうございました!」
早速順応すんな飯田お前。
「小幡」
「はいおります。ざーす」
「お前終わったら職員室こい。次、いつもの風間」
静也は普通に返事して着席した。うんうん言って、出席簿を見て固まった。
「――ん?あー――――勘解由小路」
長い沈黙の末、勘解由小路は勘解由小路を呼んだ。実際かなりの逡巡があったようだった。
「はいおりましゅ♡降魔さん♡ありがとうございましゅた♡」
何でいるの?この人。
私の中で、育休という概念が、完全に崩壊していた。
下ろし立ての制服着た、エクステでおさげのモノクル巨乳人妻JKが座っていた。白いブラウスから、黒いブラジャーが透けていて、何というか、凄いエロ妻になっていた。
そういえば、私は思い出した。始業前、誰かが入ってきて、狂乱した北沢君が、慌てて机をうしろに下げていた光景を。
「降魔さん降魔さん。緑くんは?」
プラス、エロ妻は乳児を抱いていた。
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