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 「下」の人々の間に広まっている騒ぎになど関知することなく、男は今日も気ままに寝そべっている。    男にとってここは自分の城。眼下に広がる貧民街でゴミ漁りをして食いつなぐなど遠い過去の話だ。  城での生活は平穏を極めた。  しかし、平穏な一方、至極退屈でもあった。  「永遠の都」をコンセプトとして、見るからに頑丈な石造りの建物を並べたこの街は、男のじいさんのじいさんのそのまたじいさんがやっと乳離れした頃から町並みが変わらないという。  そんな風景を眺めていたって10日も経てば目が飽きてきて、それは街というよりも、ただ石の塔が気だるげに整列した、灰色の大地にしか見えない。  そこで男は退屈な現実に肉体を置きながら、空想の世界に遊ぶことを覚えた。
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