0人が本棚に入れています
本棚に追加
晴れた日のこと。
まばゆい陽光を受けた塔の先端から、一羽の鳥が大空へと羽ばたいていった。
その様子を眺めていた男はこう考えた。
「鳥たちはいつも、高い木や塔の上に止まっている。その鳥たちは空を飛べる。私だって、こうして高い塔の上を住処にしている人間だ。つまり私も鳥のように自由に空を飛ぶことができるのではあるまいか」
もはや男に自分の妄想を疑う余地はない。
鳥が空を飛べるのはなぜか。立派な二本の翼が生えているからだ。
自分にあるのは貧相な二本の腕。さて、そんな自分が宙を舞うには…?
最初のコメントを投稿しよう!