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 しかし、今度の妄想はやけに生々しく、記憶に残った。  足場から飛び降りて、煙ったい摩天楼の底へ飛び降り、やがては天高く飛翔するあの感覚が忘れられない。  もしかしたら、自分は本当に空を飛べるのではないかと思った。  牢の壁のはるか高みには明かり取りとして小さな穴が開けられている。  ふきっさらしの穴の向こうには、雨上がりの虹のかかった空が覗いている。    看守の目を盗んであそこまでよじ登り、落下の加速を利用してから羽ばたけば、このブタ箱からおさらばできるのではないか。  
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