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13話
いつもなら憂鬱や虚しさで支配されている発情期なのに、今回はなんだか違った。
大好きなユーグリッドの服をもっさりとベッドに盛る。他にも何か……と探して机にあった本とかにも手を伸ばして……これは濡れたら駄目な奴だ……と泣く泣く机に戻す。いつもだったら問答無用で巣にしていたはずだ。
いつも通り全裸になってベッドに飛び込む。ふわりと香る匂いに身体の奥が熱くなる。
番の匂いに包まれて、期待で胸が高鳴ってくる。
今回も一人虚しく善がらないといけないのに、と冷めた心もあるのにそれ以上の幸福感に満たされている。
「お茶……しあわぁせ……ふふっ…」
ふわふわした気持ちで陰茎をこする。すぐにびくっと白濁を吐き出した。そのまま指を後孔に差し込んで入り口のひだをゆるゆると撫でる。
「…ぁん……ゆーぐ…り…どさまぁ……」
(ユーグリッド様はいつもどうしてたっけぇ……すぐ大きいの入れたらだめぇっていってぁ…)
ふわふわとそんなことをレオンは思い出しながら穴を弄る。もちろん陰茎を弄るのも忘れない。そういえば優しく胸も舐めてくれていた気がする。
両手で自分の乳首を摘まんで引っ張る。当たり前だがそうすれば尻を弄れなくなるわけで、仰向けに足を開いてベッドのシーツに尻をこすこすとこすりつける。勃起している陰茎はその度にぶるんぶるんと揺れる。
もどかしくてもどかしくて涙が出てくる。
「ひっく……やぁ…ユーグさまぁ……はや…くぅ……ぃ…てぇ…ひっく」
腰をカクカク揺らしていれば、ぶわりと濃厚な匂いが襲ってきた。
「ゆーぐさまぁ……っぁん!」
「今回はすこし小さい巣だね。洋服が足りなかったか?」
匂いと共に大好きなユーグリッドが巣の間から中を覗き、レオンの涙を指でぬぐえば目元にちゅっとキスを落とす。
昔みたいに、結婚する前のように、ふわりと太陽のようなユーグリッドの微笑みを見ただけでレオンはあっけなく達する。
信じられない。
なぜユーグリッドが今ここに、いるのか。
「? どうしたレオン」
思わず目を細めてユーグリッドの顔を確認したレオンにユーグリッドが怪訝そうな表情を浮かべた。
「ゆーぐ、りっど……しゃまぁ?」
レオンは混乱した。
これは自分の妄想なのではないかと思った。だから実物だと確かめたくて自分と同じように何も纏っていないユーグリッドに、抱っこを強請る様に両手を広げて伸ばす。レオンの身体は発情の熱でもう上手く動かないのだ、ユーグリッドに来てもらうしかない。
そんなレオンにユーグリッドは優しく微笑み上半身を抱き上げる。
「ああ、さっき香水がきつい方と会ったから湯浴みをしたんだ。私の匂いが薄いから不安になったんだね。ほら、君の夫のユーグリッドだ。判るだろう?」
上半身を起こされて胸に抱きしめられれば、すーはーすーはー匂いを嗅いで、ちろちろと肌をレオンは舐める。いい匂い。
間違いない、本物のユーグリッドだ。
「ふふ、今回は仔猫みたいだね……、あれ、まだ後ろに入れてなかったのかい? 珍しい。レオンは奥をこすられるの好きだから、いつも待ちきれなくてすぐに入れているのに」
「ひゃ…ぁんっ…」
後孔に自分のよりも骨ばって太い指がつぷりと差し込まれて、甘い声が漏れる。きゅうきゅうっと指を締め付ければ楽しそうにユーグリッドが声を漏らして笑う。
「可愛い……慣らすのもオレにさせてくれるの? ほら、ちゃんとおねだりしてみせて?」
「ゆ、ぐ……りっどしゃまの…欲しぃ」
指だけではもどかしくて、レオンは顔を上げてユーグリッドの唇をチロチロ舐めながらおねだりをする。
ぐっとユーグリッドは唾を飲みこんだ。いくらΩの発情期と言えど慣らしもしないで挿入するのは負担が大きい。ねだれとは言ったが素直に言われるとは思っておらずユーグリッドの理性は焼き切れる。
いつも無理に張形を突っ込んで、尻を痛めているのを知っているから優しくしたいと思いつつも、可愛い番のおねだりには勝てなかった。
「ふぁあああ、いっ…あっあっ…んぁ、ひゃっ…あ、うぁ……」
「きっ…つ、やっぱり…もう少しならして」
「ぃやっ!」
ユーグリッドはレオンを仰向けにベッドに転がし、ミチミチと音がしそうなほど狭い蕾に昂った剛直を押し込む。しかしレオンの痛そうな顔を見てしまえば耐えられない。ユーグリッドが辛そうに眉を顰めながら身体から離れていくのが嫌で、レオンは必死に腰を押し付ける。
(いぅも……もっぉ入る、のにぃ……)
「ごめぇ……なしゃぃ…」
もどかしくてもどかしくて涙がポロポロ流れ落ちる。レオンの泣く姿にユーグリッドは目を見開く。
ユーグリッドは今までレオンが発情に入り朦朧と理性を無くすタイミングを見計らって自分の寝室に戻ってきていた。その頃にはどろどろぐずぐずになったレオンは張形を咥えこみ、物足りなさそうに腰を揺らしていた。結婚してからはそんな風だったから繋がる時に躊躇ったことがない。
そうでなくても、行為中にレオンが謝罪するなんてことはなかった。
「ゆーぐ、……りっ…さまぁ、きりゃぃ……なぁなぃで…」
理性がない状態のはずなのに、泣いて許しを請う可愛い人に違和感を感じていたユーグリッドだったが、それもすぐに消え去り、目の前の番の甘いが爽やかな香りに夢中になる。
「はっ、あぁ可愛いレオン……愛してるよ。オレのレオン…今だけでいい…今だけ、オレを見て……嫌いになんて、ならないっ」
「ユーグリッド…さま……すきっ…あん、や、はげしぃ…~~~~っ!」
一度抜こうとした剛直を再び押し進める。濡れて奥へと導くように波打つ肉壁も悲鳴とも嬌声ともつかない声を漏らしながらも恍惚な表情を浮かべる姿は、普段のレオンからは想像できないほど淫らでユーグリッドの欲望は止まらない。
最初こそきつく動きにくかったそこも、じゅぶじゅぶと淫乱な音を出すころにはなじみ、レオンの好きな場所を追い立てていけば一層愛らしい声を漏らした。
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