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その後、近隣の村から奉公に来ていた母と知り合い結婚するのだが、父は農家を継がなかった。
ある日、長男の(父の兄)家に行った時、たまたま兄宛の祖父からの手紙を見つけ盗み見したらしい。
そこには「◯◯(父)は駄目だ。家は三男に継がせる」と、言った内容が綴られていたらしい。
まあ、父にしてはショックだったんでしょう。この話は「俺は親父に篩にかけられた」と、生涯卑屈にいい続けていた。
母は後妻に虐げられ、小学校もろくに通わせて貰えず奉公に出されていたのできっと映画に誘ってくれたりした父はハイカラさんに見えたのかも?
まあ、それで私が産まれたんだから良しとしますが。
母を連れて家を出た学のない父は、当時生計を立てる為に炭鉱に勤めた。
父は大して体格は良い方ではなかった。
私が高校生になる頃には父の背丈を抜いていた。
父はきっとがむしゃらに働いたのだろう、生前よく仕事で肋骨骨折をしたまま休まず仕事をしていた話を自慢していた。
有給も買い上げして、仕事一筋だったのだろう。
家族サービスなどほぼしない父。
唯一記憶にあるのは、姉と4人で初夏に近くの山にピクニックに行ったことがある。
それも今考えたら、山菜狩りだった様な気がする。
蓬の新芽を摘み、蓬餅を作ったのを覚えている。
結局本家の農家を継いだのは三男の叔父。
私も歳を取り、親族の葬儀などの集まりで、本家のその叔父が昔話で先に家を出た兄2人に酔って文句を言っていたような気がする。
農家を押し付けたと。
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