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昼食
寛は巾着から食材や道具を出して調理を始めた
「なかなか起用やね」
「まぁ一人暮らし長いけん」
俺の方が長いとは思うが
料理はそこまでである
コンビニとかいう便利な店のせいでついつい寄ってしまって
自炊というものは回数が減ってしまった
仕事のきつさもあるのだが
食後はいっぷくほしいものだが
あいにくと寛は煙草を吸わない
俺もこの世界に裸で飛ばされたから
そんなものは持ってこれなかった
しかし食後にコーヒーが飲めるだけでも十分贅沢だ
「そろそろ来るけん準備しちょって」
寛の言葉に?が浮かぶ
「なにが?」
「盗賊よ」
いろんなもが出るとは聞いていたが
突然の言葉に頭がついてこなかった
木の葉が揺れだしたと思ったら
数人の男たちが現れた
「できるだけ殺さんとってね」
軽く言って寛は切り込んで行った
俺の出番もなく寛はあっさりとそいつらを捕まえた
「警察に連絡するけん」
まさかここで待つのか?
「30分程で着くそうやけん」
「30分て、どうやってそんな時間で着くんだ?」
「空からよ」
「俺たちもそれで運んでもらえば?」
「いやいや、さすがにそれは無理よ」
「というかえらい手際よくない?」
「仕事が賞金稼ぎやけん」
いやいや初めて聞いたぞ
だから武器なんか持ってたのか
まぁいいかと納得した
しばらくすると警察が来て盗賊を連行していった
警察は洋服なんだ
なんとなく俺の世界と似たような服だ
30分も歩くとちょっとした宿場町?のようなところに着いた
「ここは?」
「四宿(よつじゅく)言うち分岐点
ここの東西にも町があるけんちょうど分岐点」
なるほど店や宿がある
大きさ的には大したことはないが人通りは多い
アウトレットというよりは大きめの道の駅のような感じだ
バス停もある
何台かバスの発着を見たが
見た目はバスそのものだ
違うのはタイヤの部分から横にドローンのようなプロペラがある
それで浮いて移動していた
「さっきの場所で昼食にしたのは盗賊を捕まえるため?」
「そう」
そう言って寛は笑った
「日が暮れるまでに着きたいけんさっさと行こう」
バスに乗って行きたいけど
そういう事さえ言わせない雰囲気でサッサと歩き始めた
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