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ナゾの世界
視界と地面の歪みや光が、徐々に収まっていった。
だいぶ近くに聞こえるざわめきと、じゃりっとした地面の砂の感触に、目をそっと開いた。
と、ほぼ同時に足にふわっとした何かがあたり、
「おっと、ごめんなさい!」
という声が聞こえた。…だいぶしたから。
「ふぇ?」
びっくりして声がしたほうー…正確には左下…を振り返るとなんと、信じられないことに……
”犬がいたのだ。”さっき喋ったのは、間違いなくその犬。その犬も、『え!?人!?』と言うように驚いて去っていった。
私は一体どこに来てしまったのだろう。
冷静に…なれるわけがないが…あたりを見渡すと、瓦の屋根、竹のヒンプン、平屋…
どこかでみた、江戸時代の風景だ。
ふと、自分の横に何かがあることに気づいて、それを見ると
【犬街】
という看板だった。そこでやっと、ここは江戸時代(多分)の頃の犬街だということ、犬町の名前の由来に気がついた。
そんでもって改めて、犬が、それも人間の服を着て、喋っていたこと、について考えると、余計よくわからなかった。
「これからどうなっちゃうんだろ…」
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