嘘じゃないよ

　マルシェを見て回って美味しそうなものを手当たり次第に買った。
　どの店でも色々オマケして貰えて笑顔になれた。

　ずっしりと重みのある保冷バッグを自転車のカゴに入れて、来た道を戻って行く。

「2人分じゃないもん。2日分だもん…」
　誰に言うともなく呟く。

　あと数日で新学期が始まる。
　もうみんなとは一緒にいられないけど、挨拶くらいは笑顔でしようと思う。

　みんなにも、葵にも…。

　さぁ、新しい日々に向かって上り電車に乗ろう‼︎

　4駅目でふとミッコを思い出す。
「いい人だったな…ミッコ」

　あんな風に本音を言い合って、ありのままの自分をさらけ出して…それでも受け止め合える、想い合える、そんな2人が羨ましかった。

　そんな2人に、私もなりたかった…。