嘘じゃないよ

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 気付けば窓の外はいつの間にか見慣れた景色。  何だか変な一日になっちゃったな…。  冷凍庫に入り切るかな?  痺れた指先が真っ赤になっている。  二度三度持つ手を替えながら家までの道をゆっくりと歩いた。 「…」  帰り着いたアパートの2階の一番奥の部屋の前に、携帯を握りしめた葵が座り込んでいた。  人の気配にぼんやりと顔を向けた葵が泣き出しそうな顔で勢いよく立ち上がった。  少しよろけながら走って来て、何も言わずにただ私を抱きしめた。  息ができないくらいに強く、身体も心も痺れるくらいに。 「…あ、葵」 「ごめん」 「……いいんだよ、瑠美はいい子だよ」  ちゃんと別れを言いに来てくれたんだね。  葵らしい。 「いや、違う。説明がちょっと長くなる」 「え?」 「とりあえず部屋、入れて」 「わ、別れた相手を部屋に入れるなんて…」 「別れてないし別れない‼︎説明するから頼む‼︎漏れそう」 「…も⁈わ、分かった」  急いで鍵を開けると葵はトイレに駆け込んだ。
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