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しゃがみ込んで買ってきた物を冷凍庫に詰め込んでいると、トイレから出てきた葵に後ろからまた強く抱きしめられた。
「俺、今日澪那がメッセージ送ってくるの知ってたんだ。だから澪那が来たタイミングであの返信したんだよ…絶対尾行して来てくれると思って」
予測された通りの行動を取った自分に若干の恥ずかしさを感じつつも、私は黙ったまま冷凍庫に詰め続ける。
「店の中まで来るって…来てくれるって思ってたんだ。『どういう事?』って…そしたら『嘘だよ』って言って『何それー』って言って笑うんだって…そう思ってたんだ」
「ふざけんな」って乗り込んでやろうか?
…そういう選択肢は確かにあった。
そっか、良かったんだそれで。
葵にはありのままの自分を見せても良かったんだ…。
「じゃあ、瑠美とは…」
「ないよ、何もない。ただ逆ドッキリに協力して貰っただけ。こんな事になるなんて思ってなかったんだマジで…」
冷凍庫を閉めて葵の腕を軽くトントンと叩く。
「飲み物入れる」
「あ、うん」
緩まった腕から抜けてゆっくりと立ち上がる。
「いつからいたの?家の前」
「あの後すぐだよ。急にグループから抜けたって通知がきて、外見たら澪那いなくなってるし電話も繋がらないし…」
「え、嘘…6時間ずっといたの⁈」
スティックタイプのカフェオレを入れたカップにサーバーのお湯を注ぐ。
「他のヤツらからの連絡にも反応ないって言うし、マジでどうしていいか分かんなくて…」
ローテーブルにカップを2つ置いて座ると、私の隣に葵がピッタリとくっついて座ってきた。
「そうだ私、メッセージ何にも見てなかった」
バッグから取り出した携帯にはメッセージや着信の通知がたくさんきていた。
「……どこ、行ってたんだよ」
そう言って葵がまた私を抱きしめてくる。
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