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しかし、そう言われてもますますわかりませんでした。しばらく私はそのことをよく考えていたと思います。ですが、たとえミッション系の学校に通っているとはいっても、子供の私には、勉強だったり遊びだったりと、心を奪われることが、あまりにも多過ぎます。そのことは次第に忘れ去られていきました。
そうして何年か経ったのちのことです。あるとき、それは突然起こりました。
そのときのことを、我が身に御子を迎え入れるに至ったときのことを、これから赤裸々に語りたいと思います。
あるいは人によっては、それを性の目覚めと呼ぶ方もいるのかもしれません。ですがそれは、完全に宗教的な瞬間でありました。迷える仔羊でしかない、ちっぽけな存在である私が、唯一絶対な神によって導かれた体験であったと、そう確信しております。
あれは、学友の家で過ごしていたときでありました。初等部の五年生のときだったと思います。
その子とは、単なる同級生の関係でした。とりわけ仲が良かったということではなかったのですけど、どういうわけか、その日はしばらく彼女の家で過ごすことになったのです。
おそらく親同士でPTAか何かの用事があって、一緒に連れて来られたのでしょう私は全然乗り気でなかったのですけど、仕方なく付いていったのだと思います。
だってその子のことは全然好きではなかったのです。彼女はお高く止まっている感じの子でした。お父様が確か大学の先生で、彼女もインテリぶっているところがありました。
対して私の家は、敬虔なクリスチャンということを除けば、いたって平凡な家庭です。というより、敬虔であるということが、やや世間知らずに通じている家庭でした。子供の頃の私も、あまり世間を知らずに育ったようなところがあります。
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