ソープディッシュ

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 「へぇー」と、松島が相づちを打つ間も与えずに、藤井が続ける。 「ちなみにパイナップルにも、同じくタンパク質分解酵素が含まれている」 「――『パ』から始まる果物は皆、そうなのか?」  松島から投げかけられたさらなる疑問・質問に、藤井も首をかしげる。 「さぁ?どうだろう?――そう言われてみれば、パッションフルーツとかはどうなんだろうな?」 「・・・・・・」 「・・・・・・」  藤井に問われてみたところで答えようがない松島は、沈黙に徹した。 そもそも松島に答えを求めていなかった藤井は、特に急かさなかった。  最初に笑い出して沈黙を破ったのは、やはり藤井だった。 松島が、それを大声で遮ろうとする。 「もういい加減いいだろっ!おなかが空いてんだよっっ‼」 「あぁ、そうだな・・・・・・俺もいい加減、おなかが空いたよ」 「さんざん笑い過ぎたから」という余計な一文は、言い足さないでおいた。  藤井は椅子から立ち上がり、松島へと訊ねる。 「ご飯作るよ。何がいい?何が食べたい?松島が食べたいものを作るよ」 「ただし、材料があれば」と、これ又心の中だけで付け足した。
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