ずっこけスタートダッシュ

3/4
前へ
/4ページ
次へ
 トボトボと下った矢先、二度目のチャンスタイムを発見した。そう、入学式の立看板と写真撮影だ。一人でいる子に声を掛け写真を取りたいと声を掛けよう。  決意を固めて私はショートヘアのいわゆる普通系の女の子に声を掛けた。 「あの、写真を撮ってもらっていいですか?」 「はい、良いですよ」  よし、成功だ。  心の中でガッツポーズをしたのも束の間、私はスマホを渡すように要求された。  あ、私が入学式の看板とツーショットを撮りたいと勘違いされたのか……。私は君と二人で自撮りをして、ついでにバス停まで一緒に行きたかったんだけどな。  一緒に写真を撮ろうなんて言う勇気のない私は仕方なく入学式の立看板とツーショットを撮った。  しかし、それで終わらないのが私の長所。 「どこの学部なんですか?」  この時間帯は社会学部社会学科と政策学科、社会福祉学部だけしかいない。3分の2は当たりといってもいい。 「社会福祉です」 「あ、そうなんですね。私は社会学部なんですよ~」  くそ、ハズレだ。でも、仲良くなることは良いことだ。このまま一緒に帰ろうと誘おう。 「ミホ! ごめーん、トイレめっちゃ混んでてさー」  目の前の女の子は走ってくるポニーテールの女の子に手を振っている。 「あれ、なんか用事?」 「いや、終わったところ」  …………。 「あ、お友達ですか?」 「うん、そうだけど」  そのまま二人は大学構内から出ていく。私も一緒に行けないかなと思ってついていく。 「この看板とも写真撮りますか?」 「はい!」  もしかして一気に2人ゲットか?  そう思ったけど現実は甘くなかった。またショートヘアの子が私からスマホを受け取り私は看板とツーショット。そして交代してポニーテールの子とショートヘアの子のツーショットを撮る。人の心がないのか、この人達。 「じゃあ、さようなら」  そのまま、分かれて私は家に帰った。バス停で私の前にいた人ももう人間関係ができていて話しかけづらかった。まずは1対1じゃないと話せない私としては辛い日だった。結局その日はぼっちだった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加