四月馬鹿なんていらない

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四月一日。世間では新年度がはじまり、新入生や新社会人たちが初々しく活動をはじめる日でございますね。  まあ五十歳にして万年ニート&子ども部屋おじさん、くわえてチビデブハゲ、真性童貞の「逆大谷翔平」と呼ばれております私からすれば、まったく関係のない日でございますですね。  そういえば四月一日はエイプリルフールといって、ウソを公に言っても許される日なんだったでしたっけ?  私ァ騙されませんよ!  小学生の時、エイプリルフールだってんで、  「中庭で飼ってるニワトリさんたちが、猫に虐殺されました」  とウソをつきましたところ、クラス中がパニックに陥りましてね。  女子は泣き叫ぶわ、男子は「猫を殺す」など物騒なことを言い始めるわで、先生があわてて確認しにいったところ、  「ニワトリは死んどらんではないかあぁーっ!」  と激越な叱責をされた挙げ句、クラスメイト全員から一ヶ月以上無視され続けた過去がございますですよ。  エイプリルフールって、ウソをついても大丈夫な日じゃなかったんですかあ?  結局ウソも「万人がクスっと笑う程度の軽妙なウソ」しかつけない日なわけですよ!  たとえば「都庁に爆弾をしかけました」とか「学校に放火します」などという重いウソをつけば、たちまち警察に逮捕されてしまうわけでございますよ。  軽めのウソでも他人が不快に思うような、「ジャバザハットみたいな顔してるね」とか、「スカートからパンツ見えましたよ」みたいなことを口に出しちゃったら、その場で嫌われ者確定でございますですよ。  つまるところ、コミュ力っ……!  私のような「天性のヒールキャラ」がエイプリルフールみたいな「コミュ力のリトマス試験紙」みたいなイベントに参加しようとしたこと自体が間違いだったわけですよ!  くぅーっ……私にクリエイティブな技術と才能があったら、英国の国営放送みたいに「群れをなして空を飛ぶペンギン」みたいに粋でいなせな動画を作成し、皆の賞賛を浴びることができたのに……。  これじゃあ、エイプリルフ―ルと「普段の冗談」はなんら変わりないですよね?  何せ昨今は規制の多い世の中……。  あれもこれもハラスメント。  ウソをつくこと自体が大きなリスクといってもいいのに、あえてその隙間を縫ってウソをつくメリットってなんなんでございましょうね。  結局、自己満足でございますか。  おれは私は、このコンプライアンスだらけの世界で針の穴を通すようなネタを思いつき、皆をギャフンとうならせるウソをついてやったぞ。  大喜利じゃないんですよ!  私はゴメンですね。コミュ力の発達したイケてる男女で、気の利いたウソを照会しあって、エブリスタに投稿されてる小説みたいに、恋愛なんかに発展しちゃえばいいんじゃないですか。  そんなポンポンウソをうまいことつくことができてましたらね、私こんなのになってませんですよ。  エイプリルフールなんて、いらねぇーんだよっ!  バーカ、バーカ!  ……まあ、馬鹿と言う者が馬鹿なんですよね。私も皆と同じ土俵に立ってしまい、お見苦しいところをお見せしました。  世の中、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」ともいいますから、こういった世間のイベントに参加できれば、楽しいのかもしれませんですね。  私としては、せいぜいTVやネットで政治家とか芸能人が「冗談のつもりで言った失言で叩かれまくる」のをコーラでもがぶ飲みしてポップコーンを頬張りつつ、「見る阿呆」として「ニワトリ惨殺のウソ」の轍を踏まないように、高みの見物をいたしますですよ。  四月から新生活を送る皆さん、世間はアラを探して足を引っ張る人が多いですから、エイプリルフールでうっかりウソをついたり、歓迎会の「無礼講だから」のウソを信じちゃいけませんよ!  馬鹿は馬鹿でも、馬鹿正直くらいがちょうどいいですよっ!                   終
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