桜が咲く頃に

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「いい加減にしろよ、もう本当にやめてくれ」 二度目のレンタルに、亮は語気を強めた。分かってはいても、彼を想うと胸が苦しくて、どうしようもなく逢いたくなった。 「何度も言ってるけど、レンタルじゃなくて、」 「私たち、どういう関係なのか分からない。ならお客の立場の方が、気が楽だから」 「どういう関係って……」 彼は困惑の表情を浮かべた。私は続ける。 「恋人じゃないし、友達とも違う。けど、」 深呼吸してから「私、亮のこと好きかも」そう言葉にした。 「僕は……」 「わかってる、なんとも思ってないのは。だから個人的に会いたくないの、欲張りになりそうだから」 私は視線を下げる。彼から次の言葉はなかった。 * 三回目を頼む前に、亮は“Prince”から消えていた。 落胆しているところに、いよいよ痺れをきかせた勇斗が、強引に私を風俗店に連れて行こうとした。 ――もう無理 『たすけて』 震える指で文字を打つ。折り返しかかってきた電話に、今いる場所を告げた。そこは、初めて亮に声をかけられた街。
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