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「洋子!?」
驚く社長を「エイプリルフールよ。バカね」と専務は嘲る。
「でも写真は」
「事前に実家で撮らせてもらった。社内メールに見せかけてあんたと望月くんにしか送ってないわ」
「あの、何で僕も?」
「ついでよ」
ついで。呆然とする社長と俺を無視してテキパキと専務は話し続ける。
「ガールズバーの子にも会ってきた。まったく恥ずかしい。あんな若い子に迷惑かけて」
「それは」
「うるさいわよ、言質はとったからね。私がいなきゃダメなんでしょ。いてやるから変な夢見ないでちゃんと働きなさい」
専務がぴしゃりと言い、社長がしょんぼりうなずく。これはつまり、エイプリルフールに乗じて専務が雨降って地固めたということか。さすがだ、専務。社長はマジでこの人から離れるべきじゃない。
協力者のベテラン事務員さんと経理さんが拍手する中、にっこり笑った専務がなぜか俺を振り返る。
「望月くん、彼女から伝言よ。今度シメジ料理食べに行こうって」
「え?」
見計らったようにchatterの通知が鳴る。シネジについた最初のコメント。「笑」って呑気なそれはヒズミが元気になった証拠に見えた。
「良いじゃない」
覗きこんだ専務が笑い、俺も笑ってしまう。
てか、シメジ料理って何だよ。
口元が緩むのを抑えながら俺はヒズミのコメントに「いいね」を押した。
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