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「あの、何で僕なんでしょう。社長にも言ったけど、別にchatter詳しくないですよ」 「えっと、それは」 「ヒズミがさ、chatter向いてる人って真面目で常識的だけど自己顕示欲が強くて、そのくせ前には出ないオタクっぽい奴っていうから、それ望月くんじゃんって思ったんだよ、俺」 「あ」  社長の、実に社長らしい悪意なきぶっちゃけに「まあ、才能あるのはいいことだし」とヒズミが苦笑いする。 「とりあえず一日三回、できたら一時間に一回は何でもいいから載せて。文が苦手ならみっちーの顔でも、ネジの写真でも何でもいいから」 「そう言われても」 「本当に何でもいいから。とにかく露出を増やしてアカウントを人目にさらすの。大丈夫、やってるうちに慣れるし、もっちーの味も出てくる。もっちーの個性と見てくれる人の好みがわかったら、それ込みでエイプリルフールネタを考えるってことで」 「頼んだよ、望月くん」  これで安泰とばかりに笑う社長が再び自分のグラスと俺のスミノフを打ちつけた。ゴズッみたいな鈍い音。暖房のせいか、スミノフの瓶はまわりに無数の水滴を浮かべている。  「まあ、これでいいだろ」って勝手な期待で引っ張り出され、一口も飲まれないままびっしり汗をかいてるそれは、今の俺そのものに見えて、俺は泣きそうになった。
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