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 俺が水澤ネジアカウントの中の人になって一カ月半、最近ヒズミとは週二の頻度で会っている。結局、俺とヒズミの実力では大したアイディアも出ず、とはいえ迫るエイプリルフールに社長が期待している手前、何とかしなくちゃいけないから。 「もっちー&みっちーってコンビで漫才デビューしますっていうのはどう?」 「それ内輪ネタじゃん。元から俺と社長の知名度がないと成立しない」 「じゃあもっちーが米津玄師を完コピした『ヨネジ玄師』に扮してlemon歌うのは?」 「何その悪夢。正に夢ならばどれほど良かったでしょうだよ」  打ち合わせの頻度は上がったが、精度は一向に上がらず毎回こんな話しかしてない。まずい。もう三月も後半なのに。 「ねえねえ、ところでみっちーって最近どう?」  よく会うようになってすぐ、ヒズミは「コイツはない」と気づいたのか俺に対してきゅるっとしなくなった。おかげで俺たちは普通の友達みたいに気安い。 「どうって?あんまり見てない。元々現場の人だから事務所に顔を出すことは少ないし」 「何かまずい気がするんだよね。私にマンション買うって言い出してさ」 「え!?」  
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