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「上層部の人間に対して能力使って私の入隊取り消すとか無しだからね」
「……」
「ちょ、何で黙るの!?まさかほんとにする気だった!?」
無言で微笑む一也は、確実にやる気だった。
「そ、そんなことしたら一也のこと嫌いになるから!」
「ほう……それは、寂しいですねぇ」
「全然寂しそうな顔してないじゃん!?」
なんて奴だ。一也はたまに強行的手段に走るから困る。
どうにか説得しなければ、私の計画がうまくいかなくなってしまう。……こういう時は。
「ねぇ、お願い。……言うこと聞いてくれなきゃ、もうシてあげないよ?」
一也の耳元でそう囁き、ズボンの上からその男根を摩ると、一也は一歩下がり、しかしそこに壁があることに気付いて眉を寄せる。
「……本当あなたは、そんな何も知らない少女のような外見をしておいて、天性のクソビッチですね」
「…一也ってたまにはっきり物言うよね」
「事実じゃないですか。…泰久様が好きなくせに」
小さな声で不思議なことを言う一也。泰久が好きなのは事実だが、こういう行為に好きも嫌いも関係ない。
「今は一也としかしてないよ?」
「どうだか…いつもそうやって男を誘っているんでしょう。そんなんで自分の中の“女”を捨てられるんですか?超能力部隊では男として生活しないといけないんですよ?」
一也の言葉を一旦無視して壁に押さえ付け、足と足の間に太股をこすりつけると、一也のそれは徐々に硬くなっていく。熱を帯びてきたのも分かる。……ここは素直なんだけどなあ。
「超能力部隊に行っても、一也が抱いてくれるでしょ?」
「そんな場所ありません。寮では泰久様と一緒ですし、泰久様のいる空間であなたを抱くわけには……」
「…あ、そうだ」
「え?」
「こう脅せばいいかな?―――言うこと聞いてくれないと、一也と体の関係があるって泰久にバラしちゃうぞ」
雇い主である泰久が妹のように大切にしている私を抱いているなんて、知られたら関係が悪化することは明白だ。
「………本当あなたは……」
一也はひくっと口角を吊り上げたが、数秒後仕方ない、という風に大きな溜め息を吐いた。
「……分かりましたよ。あなたは泰久様に負けず劣らずの頑固者ですからね。どうせ取り消しても取り消してもまた入隊しようとするんでしょう」
「やった、一也大好き!」
「はあ……」
こうして私の超能力部隊への入隊手続きは順調に進んだ。
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