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炎冠の闇竜王の空腹.1
「ああ。腹が減ったな……」
竜はそう呟くと、へそ天のまま頭上に浮かぶ青い惑星『花練』を見上げた。
「俺はいつまでここにいればいいんだ? 魔王」
ここ、花練の衛星『玉露』に埋め込まれたメガトン・ハイパー・超弩級に巨大な蕾晶柱の中で魔族達が眠っている。魔王の使い魔だった竜は契約に縛られ、その眠りに付き合っていた。
だがそれもそろそろ限界だ。
「俺は本当に腹が減ったんだが!」
黒い鱗を鳴らしながらむくりと起き上がり、竜は蕾晶柱を尻尾でビシビシした。無論その程度では魔王を始めとした魔族達の眠りを妨げられはしなかった。
「全く! せめてどんな条件が揃えば目覚めるつもり、ぐらいは言って寝ろよ! 魔王!!」
愚痴ったところでどうしようもない。
「ああ。なんでもいい。誰か飯もってこ〜い!!」
竜は叫ぶともう一度蕾晶柱のそばに寝っ転がった。へそ天で花練に向かって炎を吹きあげる。まあ、いくら近くに見えるからと言っても、竜のブレスは花練に届きもしなかったが。
竜は契約者の魔王がいる限り不死身だ。それでも腹は減る。一千年にも及ぶ魔王達の眠りに付き合わされて、竜は超絶空腹でイライラしていた。
その頃花練では……。
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