空腹の幻影

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 俺は、また叫んだ。  食事も何も用意していない部屋で、何をするのだ、と。  俺は、お腹が減っているのだ。作業とか面談ではなくて、食事がしたいって言っているのに、何故それが出て来ない⁉  空腹の苛立ちからか、俺の怒りはさらに大きくなった。  と、その時だった。  薄暗かった部屋が、ぱっと明るくなった。 「お待たせしました。ご注文は何にしましょうか」  そうして。  タキシードのような服着た、初老の男が俺に頭を下げて来た。 「食い物だ! 食い物を寄越せ‼!」  俺は、その男に怒鳴りつけた。 「かしこまりました」  男は俺に頭を下げた。 「さっさとしろ!」  それに気を良くした俺は、さらに怒鳴りつけた。  すると、次の瞬間。
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