余白

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余白

 こんなにも特別で、そして、意味があってほしいと祈る夜。今まで重ねたどんな願い事よりも、かけがえのない。理由だとか、存在価値だとか。そんな、そんな特別な。  せめて叶ってほしいと願っていた。生きてきた訳になってほしいだとか、そんな、ワガママ。  分かっていた。こんな瞬間だって世界にはありふれていて、何か大きなものなんかじゃなくて。  叶う義理も道理もない、ただの、ありふれた夜。奇跡じゃなくても、悲劇ですらなくて。
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