縛り、縛られ、囚われて~DomとSubの幸せな依存〜

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 視線の先では男性器に欲が集まり頭をもたげようとしていて、平静を装うとすればするほど色が濃くなり硬度を増していく。カッと羞恥が頭を駆けのぼり膝を閉じようとするが、 「隠しちゃだめだ、『晒して』」 「・・ん」  恥部を見せつけるように指示をされ、ぎゅっと目を瞑りゆっくりと両膝を広げた。 「『見て』。先生が今どんなふうになってるか」 「っんなこと、・・君も分かるだろう」 「ダメだよ、目をそらしちゃ。『見て』で、俺にちゃんと『言って』ごらん」  Domの指示は絶対だ。仰向けのまま頭だけを持ち上げてのろのろと自分の中心部を見る。 「ね、まだ触って無いのにこんなに大きくなって、もうちょっとでイっちゃいそうだね」 「そんな、いや」  そこは全身から集まった欲でさらに膨張していた。先端から垂れた蜜で濡れているのが淡い間接照明の灯りでもはっきりと見て取れて、あまりに淫靡だ。いやいやと頭を横に振りすぐに目をそらす。 「見ろって言ったよね。なんで目をそらしたの?お仕置きが欲しいみたいだね」 「やっ、ごめ・・」 「『壁を向け』。ちょっと反省しておいで」  壁に向かって座り、頭を冷やすために与えられる罰を甘んじて受け入れた。目に入るのはクリーム色の壁紙だけで視覚も聴覚も他に与えられる情報がなく、頭の中をネガティブな感情が堂々巡りをする。嫌われた?呆れられた?もう二度とプレイをしてもらえなくなるかもしれない。不安の深淵から絶望の谷底に落ちそうになった時、急に現実へ引きあげられる。 「もういいよ、よく頑張ったね」 「見るな・・」  右腕で赤くなった目元を隠そうとするとすかさず取り払われて、伊吹が目を細めて覗き込んでくる。 「『見せて』、全部。どんな先生も俺は嫌いにならないから」  床に座り込んでいた怜一を抱え起こすと、ベッドの端に座らせて忠誠を誓うように跪いた。 「好きだよ、怜一さん」  その言葉で怜一の意識はふわりと舞い上がった。雲を掴むようなふわふわと現実味のない多幸感。もう少しこのぬるま湯のような幸せに揺蕩っていたいのに、遠くの方で実態を伴う痛みと快感を感じてあっという間に地上に引きずり降ろされる。 「・・ん?」  気が付くと、ベッドに仰向けになった怜一の上に伊吹がのしかかり、胸元をむさぼっていた。 「ごめんだけど、スペースに入るのはもうちょっと我慢して。意識のあるまま抱きたいから」 「痛っ・・」  あまり肉の付いていない痩せた胸に歯を立てられる。よく見ると、体にいくつかの鬱血痕と歯形が残っていた。 「なにしてるんだ」 「マーキング。早くカラーを買いに行こうね」  唇が首筋に移動し巻かれたリボンの上からざりざりと舐められたあと、チクリと痛みが走った。  目を細めてうっとおしそうに服を脱いで床に落とし、怜一と胸を合わせる。ほどよく筋肉質な体は、触れ合う硬さも皮膚の触感も怜一とは違うけれど、ぴたりとくっついた部分からお互いの熱が行き来して同じ温度になった。 「キスしていい?」  ほとんど吐息でそう囁くと、怜一の頭を抱え込むようにしてにさらに深いキスを仕掛けてくる。 「んっ・・」  舌を吸われ口蓋を擽られると、鼻に抜けるような甘えた声が出た。自分の意志ではない別の意志を持つ生き物に口内を蹂躙され、必死に追いすがるうちに唇の端から唾液が伝った。  「キス好きなの?いいよ、もっとしよ」 「あ・・んん・・」  口唇だけではなく全身にキスをを落とされ、足りない場所は手で触れて愛撫を施される。 「あぁっ!」
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