縛り、縛られ、囚われて~DomとSubの幸せな依存〜

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 朝顔市は多分口実だ。不安でお互いを縛りたいのは伊吹も同じなのだと思うと、少し気が楽になる。自分だけが依存しているかのように感じていたから。 「ん、分かった・・伊吹」  自然に湧き出た感情に素直に従って笑うと、伊吹は大きく目を見開いた。近すぎて、瞳に映り込んだ自分の笑顔が見えそうだ。 「怜一さん・・!」  とろりととろけるような笑顔を見た伊吹が、こらえきれずにがばりと抱き着いてくる。  もう一度服を脱がされながら、今日は朝顔市に行くのは難しそうだなと頭の片隅で考えたあと、素直に受けれている自分自身に気付いて呆れてしまい、ますます笑みが深くなる。  でも、それでいいと思えた。  縛りたくて縛られたいとお互いに等しく願っているのだから、それはとても幸せな依存だ。  わずかに開いたカーテンの隙間から盛夏の真っさらな朝の光が射しこむ。ベッドの上でお互いの唯一を確かめ合う二人の上に、白とグレーの影絵が落ちた。   2
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