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昼食を食べていて行けばいい、という小川氏の誘いを丁寧に断ると、二人は家を後にした。そのまま近くのコンビニまで歩き、切手を購入する。前住民の荒巻に手紙を出すためだ。ちなみに九条はポッキーも買った。
無言のままマンションに戻り、部屋に入ると、二人ともぐったりした様子で床に座り込んだ。九条は買ってきたばかりのポッキーを袋から出し、早速齧りつく。一息つきながら彼は言う。
「やはり土地でしょうね」
「ここにいるのは円城寺綾子さん、ってことですか……」
「可能性としては高いかと思います。早速ですが手紙を書いて出しましょう」
九条がそう言ったので伊藤が部屋にある引き出しから便箋と封筒を取り出した。ボールペンを持ち、テーブルに広げる。
「僕書きますね」
「お願いします」
「内容は九条さんが考えてくれますか」
九条は手紙にする文章を口にし出した。一体どう切り出すのかと伊藤は疑問に思っていたが、彼は正直に『部屋で不可解な現象を体験しているが、あなたの時はどうだったか知りたい』と告げたので驚いた。
「え、そんな正直に書いちゃうんですか? 怪しまれません?」
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