予想外の異変

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「怪しいでしょうね。でも突然知らぬ人間から手紙が来る時点で怪しいでしょう。探るような文面より、正直に話した方がいいです。それに、荒巻さんも何か体験していた可能性が非常に高いので、伊藤さんの状況を記しておいた方が共感して返事をしたくなると思います」 「あ、なるほど……」 「まあ、関わりたくないと思うならスルーするでしょうね。ダメもとで出すだけです。あ、電話番号も書いておいてください」 「分かりました」  伊藤は九条に言われた通りに文を書いていく。時折固すぎる九条の言い回しを分かりやすく訂正し、最後に忘れずに連絡先も記しておく。  そして手紙を入れた封筒には、荒巻の名前をしっかり書いた。 「さ、完成です」  伊藤が封をしてそう言うと、じっとそれを見つめる九条に気が付いた。何やら真剣な眼差しで、不思議そうな顔をしている。 「どうしましたか?」 「……いえ、なんでもありません。出しに行きましょうか」 「あ、僕出してきますよ。九条さん、少し寝てたらどうですか? 徹夜明けですし……休んだ方がいいですよ」
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