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ヒダル神の添乗員を務めて、数日後。私は、課長から呼び出された。
「課長、何でしょう?」
「ヒダル神からの評価シートが返って来たぞ」
「ほ、本当ですか!?」
「八百万観光課」では次に活かすべく、観光を終えた神様に必ずアンケートを実施しているのだ。その際に評価もされて良ければ良いほど星がつき、成績にもつながる。
「星、いくつです!?」
「喜べ。星五つだ」
「それって……」
つまり最高評価である!
「『今までにない体験ができた。もしよかったら、また添乗員を頼みたい』とも書いてあったぞ……よく頑張ったな」
「やったじゃないか。野上!」
近くにいた草薙先輩が私の肩を叩き、言った。
「お祝いに何か奢ってやる」
「本当ですか!? じゃあ、寿々苑の焼肉食べ放題がいいです!」
「え!?」
「『奢ってやる』って言いましたもん! 男に二言はありませんよね?」
「せ、せめて、予算内にしてくれ」
「やったーー!」
食べ放題なら、大食いの私がいても周りからあまり浮かずに、誰かと一緒に食べれるかもしれない。だったら草薙先輩に加えて、同期の子も誘ってみよう。
人生最後の日になるかもしれないご飯は、悔いなくお腹一杯食べたいから。
「あぁ、想像したら」
ぐぐぅ~~。
「お腹空いてきた」
後に今回のヒダル神からの口コミで私は人気を博し、ヒダル神専門の添乗員になるとは……まだ誰も知らない。
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