4.最悪のエイプリルフール

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

4.最悪のエイプリルフール

 病院に到着すると、両親も少し前に到着したと言って来ていた。  祖母の容態は何とか落ち着いたみたいだけれど、心疾患でしばらく入院が必要だと言われた。  祖母の寝顔を見て、少しホッとした。次は起きている時に会いに来よう。  夜、拓郎に電話をした。 「さっきは急でごめんね。おばあちゃんね……」 『あー、いいけど別に……』 「別にって何よ。私のおばあちゃんが急病だったのよ?」 『ん……まぁね……』 「ところで、私にプロポーズって……?」 『あー、それね……』  私はその先を固唾を飲んで待った。 『……エイプリルフールだから……』 「……は?」 『エイプリルフールだっつーの。俺のブラックジョークだよ』 「あんた……プロポーズをも冗談にするわけ?」 『友里香こそ、俺とのデートよりも家族優先なんだろ?』 「当たり前でしょう!? 家族の心配をして何が悪いのよ!」 『俺は、俺が一番って女じゃないと無理』 「はぁぁぁ!? じゃぁいいわよ、別れましょう!」 『へ!? ちょっと、ちょっと待って!! 今のもぜーんぶブラックジョーク!!』 「あんたはどこからどこまでが冗談なのよ! 冗談は顔だけにしてよね! じゃ! さようなら!!」  ……最悪のエイプリルフールだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!