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最終話:ついて良い嘘・悪い嘘
あれから三カ月、私の心は清々としていた。
もう、ブラックジョークにイライラする事も無い、エイプリルフールに不愉快な思いをしなくても良い。いくらエイプリルフールだって言っても、ついて良い嘘と悪い磯がある。でも、出来れば嘘なんてついて欲しくない。ついていい嘘なんて、人を守るためにどうしても必要な時だけだ。それに、ブラックジョークなんて誰も幸せにしないのだ。
ヤツとの別れ際に、『冗談は顔だけにしてよね』って言い放ったけど、実際問題サルみたいにひょうきんな顔をしていたのが拓郎だった。
「顔はどうでも良くて……真面目そうなのが良かったんだけどなぁ……」
人は見た目によらないし、付き合ってみるまでその本性は分からない。でも、少なくとも、一緒にいて少しでも疑問に思っている人間は、結局は合わないって事が分かった気がする。
「今度はブラックジョークなんて言わない、エイプリルフールにくだらない嘘も付かない、顔も好みから逸脱していない人を探そう」
私は意外とタフなのよ。もう次の恋を探すわ。
拓郎からは未だにロミオメールが来るけども、そろそろブロックしても良いかもね。私も気分転換に引っ越ししようと思っているし。
夏の暑さが身に染みる季節になってきた。
「海にでも行ってあいつの嫌な記憶もろとも水に流そうかしら」
そう、クスッと笑って、私の人生が再び回り始めた──。
────了
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