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大型ミサイルが落ちたような衝撃だった。いっこうに砂煙がおさまらない。どれだけ衝撃が強かったのかが、うかがえる。
その光景を目の当たりしていた沙羅。バックの体勢でセペセペに入れられたまま、紫音達の安否を心配する。
「なんと! これは、大変でおじゃるぞぇ、紫音殿たちが……」
「おい女、暴れるな! 死にたいのか!」
そうセペセペが言い、沙羅の尻を持つ手に力を入れる。
少し離れた場所では、ウィツパーと良い関係になっていた鈴玉も、凄まじいほどの爆発音を耳にし、紫音達の安否を気遣った。
「ちょっと、ウィツパー、ものすごい音がしたわよ。あの大きな鬼さん、私の仲間に何したのよ!? みんなが居なくなってるわ」
目を丸くした鈴玉がウィツパーに訊ねた。
「鈴玉、もう仲間は諦めろ。あれだけの衝撃波だ。おそらく生きていはいないだろう。──だが、なぜ、ローリエが大鬼になったんだ!?」
ウィツパーもおののいている様子。ウィツパーはことの真相を確かめようとローリエの元へ駆け出した。
「ローリエ、これはどうゆうことだ!? 何があったんだ?」
「ファハハハ、ウィツパー、聞いてくれ。我は、あの伝説級の大鬼になったみたいだ。おそらく、さっき我と戦っていた清姫の瘴気がそうしてくれたんだ」
「なんと! それなら我にもその瘴気を分けてくれれば良かったのに……なんで、殺したんだ!?」
「伝説の鬼は何鬼も要らん。我だけで十分だ」
「な~にぃー!」
目尻を吊り上げたウィツパーがローリエを睨みつけた。
「まあまあ、そんなに怒るな兄弟。それよりウィツパー、なぜあの女をさっさと犯して、殺らないんだ?」
「あの女は我の伴侶にするつもりなのだ、だからローリエ、おまえも手をださないでくれ!」
「……自分の本文を忘れ、女にうつつを抜かすとは見下げた奴だ。そんなことをすれば、父様が悲しむぞ」
「父様には、ちゃんと我から説明する」
「それは、ダメだ! われが許さぬ! お前のかわりに、われが殺ってやる。そこをどけ!」
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