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紫音のクローン・ローリエが大鬼の姿に変身した。優に6mはあるだろう。2階建ての一軒家ぐらいの高さはある。
巨大化したため、ローリエの服と下着は引き裂かれ素っ裸の状態。鋼のような分厚い身体が赤く染まり、グローブのような手からは長く鋭い爪が伸びていた。頭からは後ろに向かって弧を描いた5本の角が流れるように伸びている。それに、最も見た目に恐ろしいのはローリエの広くなったオデコには、いくつもの目がついていた。
言うまでもなく、紫音が変身したときとまったく同じ大鬼の風貌だ。
「ハッハハハ、これは、勿怪の幸い。ひょんな拍子で大妖の鬼に成れるとはな。清姫、感謝するぞ。──では、礼といってはなんだが、苦しまずに、全員まとめてあの世に送ってやろう」
大鬼に変身したローリエがそういうと、掌を清姫と紫音、三郎太にかざした。
「じゃあな」
次の瞬間、ショベルカーのアームの先についているバケットのような大きな掌からとてつもない衝撃波が放たれた。間違いなく、それをまともに喰らえば、生きてられないだろう。いや、おそらく跡形も残らないだろう。
こうなってしまった以上、どうあがいても勝ち目はない。清姫と三郎太は覚悟を決めた。
──ドンッ!! ──と、鈍い衝撃音が響き渡る。清姫と紫音、三郎太が、ズ、ズズズーと、砂と一緒に押し流された。視界を奪うような砂煙が舞い上がっている。
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