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「やめろ、ローリエ !! ──鈴玉、早く逃げるんだ!」
だが、ローリエは容赦なかった。ウィツパーを避けるように、瞬時にカーブを描く衝撃波を放った。
絶体絶命の鈴玉。もう、ローリエが放つ、破壊力ある衝撃波は避けきれない。
「娘、早く逃げるでおじゃるー!」
沙羅も切迫した声を張り上げた。
── ドンッ !! ──
しばらくして、徐々に砂煙が収まると、鈴玉の姿が無かった。跡形も無くなっている。それは、紫音達にもいえることだった。突如、全員が一瞬にして消滅した。次いで、セペセペとバックの体勢で交わっていた沙羅も突如、姿も消した。
これには、クローン達全員が目を丸くする。
「ローリエ、これは、どういうことだ!?」
下半身を丸出しにしているセペセペが、イチモツを隠そうともせずローリエに訊ねた。
「わからぬ、肉片もなにもないじゃないか。どうして消えたんだ!? ウィツパー、おぬし、ひょっとして女を隠したのか?」
「バカか! そんなことできる訳ないだろ!」
ただただ、鬼神のクローン3鬼が不思議に思い、その場でしばらく首を傾げていた。
◇ ◇ ◇ ◇
その一方で紫音達は、鈴玉の勾玉の動きで危機を察した妙林寺の尼さんに助けだされていた。神鬼を宿した青銅鏡を使い、その中へ紫音達を吸い込ませたのだ。
舞台は変わり、ここは妙林寺。まるで数千キロ離れた場所へ瞬間移動してきたようだ。
「お師匠様! みんなを助けてくださったのですね!」
鈴玉が瞳を潤ませ師匠に駆け寄った。
「リンリン、おまえの勾玉の妖力のおかげじゃよ。その勾玉の異変をこの如意棒がいち早く察知して私に教えてくれたんだ。じゃが、ほんとうに危なかったの」
この鈴玉の師匠はカンフー着を纏っており、見た目は80ばかりの老女なのだが、背筋はシャンとしており、熟練の女武芸者のようだ。
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